三月の羊の片隅にある小さな絵本屋「ねこひ」より〜
『子どもがつくる旬の料理 1春・夏』/『子どもがつくる旬の料理 2秋・冬』
坂本廣子、クレヨンハウス
久しぶりに会った学生時代の男友達が
最近料理にはまっているというので、みんなで笑った。
だって彼は大柄で、IT企業に勤めていて、
都心のマンションに住んでいるような人で、
そのギャップがおかしかったから。
ところが話を聞いているうちに、次第にその気持ちは
尊敬に変わっていった。
大鍋で作るというひじきの煮つけは人参・鶏肉・大豆・油揚げと
具沢山だし、豆を使ったおつまみとか、
紅茶のゼリーとか、なんか感じのいいものを作っているのだ。
それも仕事から帰った真夜中に。
ちょっと心を打たれた。
そういえば、10年前にも手慣れた風に台所に立って、
他の男の子たちにご飯を作っていたことがあったっけ。
やけに調味料の充実した台所だったっけ。
彼は生活を取り戻そうとしているんだな。
その食べ物への感覚は、たぶん子どもの頃に家庭で
培われたものなのだろうと、私はこっそり想像する。
性別に関わらず、食べ物との良い関係は人生を支えてくれる。
生きることの土台になってくれる。
長い前置きになったけれど、今回は食との付き合い始めを
教えてくれるのに最適な一冊をご紹介。
子どもの料理本と侮ることなかれ。エビしんじょやわかたけ煮、
桜餅など、センスあるセレクトのレシピは大人でも参考になります。
旬の食材についての知識や子どもが台所に立つときの注意点などが
図解でやさしく書かれており、親子でお料理に取り組むときにぴったり。
お子さんが大きくなったときにはひとりで作れるよう、
全ページふりがな付です。
「食べることだけ大切にしてきた」という母の教育方針のもとで育った私が
まんまとおいしいものを作り出す夫と一緒になったのも、
母の食育のたまものだったのかしら。
いつか人の子の親になったら(そして男の子だったら尚更)、
この本を参考に、お料理を一生の友にできるような子に育てたい。
セットでおすすめ『よもぎだんご』さとうわきこ、福音館書店
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ご紹介した絵本は『ねこひ』にてお取扱いしております
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